マナーって本来は何のためにあるの?
イギリスのエリザベス女王が見せる本当の礼儀というものを垣間見る機会がありました。
もちろん実際にでは無くメディア媒体でですが、ほおおおお〜と感心したので紹介したいと思います。
先日、ロイヤル アスコットでX-JapanのYoshikiのスカーフが風に煽られ、ちょうど前方を通り過ぎたエリザベス女王の肩にかかってしまう、というハプニングがありました。
この時思わず仰天するYoshikiや他の来賓の前で、女王は何事も起こらなかった様に歩き続けコトなきを得,微笑ましいエピソードとなったことは前回の記事でも書きました。
https://koppalondon.com/royalascot-happening/
この時エリザベス女王が気がつかなかった訳ではないでと思います。
女王は場に応じてどう自分が振る舞ったらコトが大げさにならずに済むか知っているのです。
要らぬ反応をせずに、行動する。
あの場合は、意に解さぬ振りをするのが彼女にとって正しい選択肢だった。
エリザベス女王が晩餐会で見せた本当のマナー
予想外のハプニングに対して女王のとった行動。
これに関しては忘れられないエピソードがあります。
それはもう何年も前の話になりますが、アメリカのオバマ前大統領が着任してまだまもない頃のこと。
イギリスでサミットが催され、オバマ夫妻も初訪英しました。
イギリスでもオバマ氏はイギリスでも人気があり、メディアはサミット出席者の中でも一番に注目していました。
サミット前、各国の首脳を招いて女王主催の宮廷晩餐会が開かれ、オバマ夫妻も招かれていました。
ディナー前、歓談の最中のハプニンング
ディナーが始まる前、別室でゲストが飲み物を片手に歓談します。
女王を始め、各国の要人が和やかに会話をし交流を温める。
ステージセット的ではあるけれど、これも大事な外交の一つ。
もう間も無くディナーという頃、エリザベス女王はちょうどオバマ氏の妻、ミシェル夫人と話していたようです。
そこで「ディナーの用意が整いました」の声。
一斉にカメラのフラッシュが焚かれる
この時ハプニングが起こりました。
(ってイギリス側から見てのことですが)
ミシェル夫人が「さあ行きましょう」とばかりにエリザベス女王の肩にに手をかけたのです。
バシッバシッバシッ!
(とカメラのフラッシュが焚かれるイメージで)
全新聞の一面を覆うスクープ写真に
その時撮影された写真が次の日、いくつもの新聞の一面を飾りました。
あーあ。
イギリス人なら誰でも知っていることですが、
「決して女王に自ら手を触れてはならない」
という鉄則があります。
女王自らが手を出した場合だけ、その手を軽く取って会釈をする。
これのみがOK。
それ以外は自分から女王にボディコンタクトをしてはならないのです。


イギリスメディアの意地悪さ
そのツーショットを見た時、つくづく思いました。
まるで、「まあ物を知らないアメリカ人よ」という意図的な絵図らじゃないですか。国賓だぞ。
ミシェル夫人だって別に失礼な態度を取ろうとした訳ではない。
それまで親しく話をしていた流れではないか。
彼女が新聞を見た時どんな気分になったか考えて見たコトがあるのか。
典型的なマスメディアの一部を見せつけられ、嫌〜な記憶として残っていました。
実はこのハプニングに対するエリザベス女王の咄嗟な振る舞いがあった
それがずっと後になって、正にそのシーンの動画をテレビで見たんですよ。
驚きました!
実際の映像の流れはこうです。
「ディナーの用意が整いました」とゲストが懇談中にベルが鳴る。
ミシェル夫人が「さあ行きましょう」とエリザベス女王の肩に手をかける。
そして次の瞬間!
ほとんど同時にエリザベス女王がミシェル夫人の背に同じように手をあてたんです。
(その後ユーチューブのCNN映像でも見ました)
それを見て、


小学校で読んだ道徳の話が突然フラッシュバック
突然昔の記憶がよみがえりました。
今は知らないけれど、私が子供の頃には「道徳」の授業というものがありました。
教本があり、そのタイトル名も「道徳」。
いわゆるモラルにまつわる短い「お話」が載っており、特に面白いものでもなかった。
ほとんどの話は忘れてしまったけれど、一つだけ心に残ったものがあります。
「あ、あれだ」と思った方もおられるでしょう。
ある「女王」が行動で示した本当のマナー
それは、ある国の女王の話です。
イラストは中世っぽい衣装だったな。
ある時女王が外国のお客様を迎え、晩餐会に招きました。
コース料理が次々と出て、ある料理の後に銀の器にレモンを浮かべた水が供されました。
それを見た外国のお客様は、それもコースの一つと思い、器を手に取るとその水を全部飲んでしまったのです。
でもそれは、料理の合間に指をすすぐ為のフィンガーボウル。
「まあ何とマナーを知らぬ野蛮人よ」
とばかりに周りの人は見下したように、そのお客様を声を立てずに嗤っていました。
マナーは説明より態度で表そう
すると!
主賓の女王はすぐさまフィンガーボウルをお取りになり、その水を全部飲み干してしまったのです。
今までお客様を嗤っていた他の出席者たちは、皆とても恥ずかしい思いをしてうつむいてしまいました。
と、まあこんな話だったと思います。
マナーの持つ本当の意味
よくできた作り話だなあ、と当時は子供心に思っただけですが、それだけは記憶の片隅にしまわれていた。
何となく痛快だったので。
それが、女王とミシェル夫人のビデオ映像を見てボンッと飛び出してきた。
マナーとは、一緒にいる人(人達)を不快にさせないためにあるもの。
決してお高くとまるためのものではないのです。
それをエリザベス女王は体現している、それも身から普通に出ている。
礼儀が身に付いているとはこういうこと!
女王はミシェル夫人が自分の背に手を当てた時、周りがどう反応するかよく知っていたに違いない。
それで咄嗟に自ら同じ行為に出たのです。ごく自然な形で。
これが本当の「育ち」というものか〜と感動しました。


何百年経っても人って変わらないよね
そう思いましたもん。
メディアの奴らめ〜、恥を知れ。
当時はQRコードが存在しなかったけど、今だったら写真と動画をリンクさせることも可能でしょう。
意図的に切り取った場面で偏った報道をしないで欲しい……って何の話でしたっけ。
エリザベス女王だけは別格?
あ、エリザベス女王の話でした。
私は王家礼賛派では決してないけれど、やはり彼女だけは別格だと思います。
まあ年季が違うしね、大体周りにいる人たちが頼りなさ過ぎるし。
歴代の王位就任最長記録を目下更新中です。
チャールズにまだまだ譲らないでね〜。
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2022年9月8日にエリザベス女王が永眠されました。
これほど惜しまれた王族はかつてない、唯一無二の存在でした。
追悼記事を書いていますので、合わせてご覧ください。