コロッケは家で手作りするのが正解!?庶民の惣菜代表は

コロッケ作りのコツは!?

人生初のコロッケを揚げてみた。

これが自分でもびっくりするくらい上出来だったので、それをまとめておきたい。

苦闘の末、コロッケ作りにはいくつかコツがあることが分かったからだ。

コロッケ作りのコツ

*チンしてフォークで荒く潰したジャガイモには少し豆乳を混ぜてクリーミーな味わいにする。

*肉入りが好きな人の場合(私!)は、
炒めた牛挽肉と玉ねぎをたっぷり目に入れる。

*肉には塩コショウ、そしてソースちょっとで味をつけておく。
(そのまま食べても美味しいぐらいに)

*ジャガイモと肉は色移りしないように、さっくり合わせる。

*そして(これが一番大事!)、
自分で思うよりやや小さめにタネを形作る。

揚げると、膨らむ。
私はこれを忘れていた。

あまり大きく作ると割れやすくなるし、重くなる。
これは揚げる際にひっくり返し辛くなる。

(私はこれを誤り、どでかサイズになってしまった。
まあそれはそれで食べ甲斐があり、美味しかったのだけど)

「手のひらに収まるやや小さめ」が衣を付けた後、ちょうど良い大きさになるようだ。

イギリス版コロッケとの違い?

結婚歴29年で初の自家製コロッケを食べた夫は
「美味いッ!すっごくクリーミーだあ!」
と久々に大喜びしていた。

なんの変哲もない地味な日本のお惣菜、コロッケ。
でもこれはイギリス料理にはない。

イギリスにはフィッシュケーキと呼ばれる、オーブンで焼く「コロッケ風」なものはある。

フィッシュケーキ

揚げ物ほど油を使わないし、それはそれで十分美味しい。
ただし油で揚げたコロッケとは味に大きな違いがある。

地味な惣菜にかかる手間ヒマ?

しかしコロッケを自分で作ってみて
「なんて手間と時間のかかる料理だろう…」
とつくづく思った。

次はもう無いかもしれないな、
(少なくとも向こう1年は)
とまで思った。

確かに自分で作ると美味しいが、よく使われる「コスパ」で言ったらどうだろう。
食べるの数秒だもんねー。

コロッケじいさんが起こした波紋?

数年前に、「コロッケじいさん」なるものがSNSを賑わせたという新聞記事を読んだ。

有名な話らしいので説明不要かも知れないけど、コトの経緯はこうだ。

スーパーの惣菜コーナーで、

夕食のおかずにとコロッケのパックを手にした若いお母さんがいた。

そこにたまたま居合わせたどこぞのお爺さんが、

「母親ならコロッケぐらい自分で作ったらどうだ」
とボソッと呟いたというのだ。

その瞬間一気に頭に血が上った女性の顔が目に浮かぶよう。

それから2人の間でどういうやり取りがあったのかは知らないが、

彼女がSNSにその憤懣やる方ない気持ちを投稿したのが火種になったとかで。
あっという間にコメントが殺到したらしい。

コロッケぐらいって?

「どんだけ私たちが忙しいと思ってるのーっ!!!」

さぞかし世の女性達の怒りを買っただろうかと思う。

嫌味を言われた女性に対する同情や、そのお爺さんに対する憤り&呪いの言葉が飛び交ったに違いないと想像できる。

自分も惣菜コーナーをウロウロしていたのだから、そのお爺さんには家で自分のためにコロッケを揚げてくれる人がいないということだろう。

むかし奥さんが揚げてくれた熱々のコロッケが何よりの好物だった時代があったのかも知れないし、

あるいはそんな甘い夢を描きながら、ずっと独り身のままでその歳になったのかも知れない。

または今もパートでバリバリ働く奥さんが出がけに、
「暇にしてるなら晩のおかずでもスーパーで買ってきておいて」と言い残して行ったのかも知れない。

いずれにせよ現在の自分を不幸だと感じている。

寂しさが募って誰かに愚痴りたくなり、スーパーでたまたま居合わせた女性に要らぬ嫌味を言ってしまう…

おまけに世間のバッシングを浴びることになる。

(多分本人は気づいてないと思うけど。)
でもちょっと気の毒になってきたなー。

作ってみて初めて分かる手間の多さ

自分で作ってみて初めてわかるが、コロッケをイチから作るのは本当〜に手間がかかる。

クックパッドなどにはたくさん「簡単コロッケの作り方」なるものが載っている。

「バッター液を作ってサクッと手間要らず!」
「フラパンに1cmの油で楽々!」

なんて謳っているが、実際に下準備をして揚げ物をするのは中々面倒なものだ。

ジャガイモを茹でるなりレンチンするなり火を通し、

熱いうちに皮を剥いて潰し、

肉入りにするなら事前に炒めて軽く味をつけておき、

タネの準備ができたら適当な大きさに等分して形を整え、

揚げる時に形が崩れないよう良く冷ましておき、

その一つ一つに粉をはたき、

解いた卵にくぐらせ、
(粉、水と合わせてバッター液という手もあるが)

パン粉を満遍なくまぶし、

180度に温めた油で揚げていく。

が、この時点で手はもうベタベタ、

手についたバッター液にパン粉が張り付いて、自分の手を揚げるのか?みたいな恐ろしい様相になっている。

カツならトングを使うという手もあるが、コロッケは崩れないように両手で扱う必要があるのだ。
どうしても最後には手がベタベタになってしまう。

それを先ずキレイにする。

揚げ油にいっぺんに何個も入れると温度が下がるので、1度に4個が限界。

油の温度が低かったり、衣が満遍なくついていないと破裂の危険もある。
そんな恐ろしさとも戦っているのだ。

(大げさ?でも怖いよね。いきなりパーンて熱い油が撥ねたら。)

浅めの油で揚げた場合、コロッケが崩れないようにそおっと裏返す。
(私は大きく作ってしまい、ここでかなり緊張した。)

揚がったコロッケを引き上げては綱じゃくしで油に沈んだパン粉くずをきれいにさらう。

足りなくなったらまた油を足す。

油が温まったらまた4個投入。そおっとね。

これを繰り返してやっと地味なお惣菜の代表、コロッケの完成なのだ。

揚げ終わったらそれで終わり、じゃないのよ!

そしてコンロに飛び散った油が固くなる前に拭き取り、

残った油がまだ使える量ならキレイに濾し、

揚げ鍋(フライパン)をボロ布でよーく拭いてから洗う。

その他周辺のベタついた所をよく拭く。

「ふうーっ!」

準備から後始末までいかに手間と時間とエネルギーを費やすか。

おじいさん、一度やってみなはれ。
趣味、増えたら楽しいよ。

家庭の手作りコロッケ食べたことある?

実際私は子供の頃、「家で揚げたコロッケ」というものを食べたことがなかった。

実家は小さな商売をやっており、母の毎日の忙しさと言ったらそれはそれは大変なものだった。

夕食の時間が近づくと、
「みっちゃん家でコロッケか何か買ってきて!」
とよくお使いに行かされたものだ。

「みっちゃん家」とは妹の同級生の両親が営む近所のお肉屋さんだ。

お店に入って、「コロッケとメンチカツ、4つずつくださーい」とか言う。
「はいよっ」っと、みっちゃんのお父さんがその場ですぐ揚げてくれる。

すぐ奥の調理台ではお母さんがコロッケのタネを小判形に作り、
バッター液に潜らせ、
たっぷりのパン粉をまぶしている。

その全ての作業が手早くリズミカルだ。

コロッケ周りの揚げ油がジクジク泡を立て、白いパン粉がきつね色に変わっていく。

そんな様子をカウンター越しに見ているのが毎回面白かった。

待っている間にも次々に近所のおばさんや、私のようなお使いに出された子供がやってきては
コロッケやカツなどを注文している。

もちろんそこには、外で惣菜を買うことへの気後れはミジンもない。

分業している、それだけのこと

多分その辺りでは私も含めて、「コロッケは外で買ってくるもの」と信じて疑わなかった子供達が多勢いたはずだ。

家族営業の小さな商家が多い街だった。
土休日もない時代、一家のお母さん達の忙しさや推して知るべし。

まだコンビニのないその頃、お肉屋さんのお惣菜は本当に重宝されていただろう。

商家切り盛りする人、
彼らの需要に応える食べ物屋さんを切り盛りする人、

それぞれの役割を全うすることによって違う立場から経済を回している、
それだけの違いだ。

手作り惣菜の思い出が多い方が幸せ?

「子供時代の味」は別に家庭で手作りされたものだけが全てじゃない。
それをどんな気持ちで食べていたかが、食べ物にまつわる記憶を作るのだ。

今はなんでも豊富だし、美味しいコロッケがコンビニやスーパー、どこでも安価に手に入る。
オーブントースターでちょっと温めれば熱々のものがすぐ食べられる。

便利な時代になったよね。
昭和世代のノスタルジックな風景を懐かしみながらも、そう思う。

人が作ってくれたものも美味しいし、

自分で手間をかけて作ったものにもそれなりの満足がある。

別にどっちだっていいじゃないの。
今そこにあるコロッケを楽しむ気持ちがあれば。

そう言えば、みっちゃん家のクリームコロッケも美味しかったよなあ、と今記憶が蘇った。
あれをお箸でチビチビ食べている瞬間は、まさに幸せだった。

一度ぐらい作ってみようか、クリームコロッケ…
エビとグリーンピース、コーンが入っていたような気がする。

さらにハードル高いかなあ。
(パン粉はあるんだし、もう)