このパルメザンチーズがあった事、すっかり忘れていた!
ほとんど使って、もう1cmぐらいしか残っていない、ピザの食べ残りみたいな形のパルメザンチーズ。
今日もランチはトーストとサラダでいいや、と冷蔵庫を開けてヒュモスを探している時に気がついた。
そういや最近パスタも作っていないしなあ…と、すっかり乾燥してカチカチになったチーズを見て思わず口がへの字になる。
買えば高いものをこんなにしちゃって〜、という罪の意識があるのだ。
買った時はこんなに立派だった↓↓↓

「夕食はパスタとか、炭水化物モノでないメインでお願い!」
と言うダイエット中の娘の要望で、最近はパスタもご無沙汰だった。
本気でダイエットするつもりなら先ず甘い飲み物を買う癖から何とかしろ!
そう言い返したい気持ちもあるが、娘はバイトのシフトで帰りが遅くなる日も多い。
寝る前に炭水化物をドンと摂りたくない気持ちも良くわかる。
「幸いカビは出てないけど、今何とかしなかったら永久に使わないよね、コレ」
今すぐ全部おろして、レンチンスクランブルエッグにでも入れちゃえ、と意を決して(それほどのものか?)おろし器を出してチーズを削り始めた。
マイクロプレインのおろし金は、チーズでも大根でも生姜でも何でも難なく降ろせる。
20年使っても今だに切れ味鋭く頼りになる私の相棒だ、
が、
これが削っても削っても僅かな量のチーズしか落ちてこない。
パルメザンチーズがあまりに乾燥していて、数年来物の鰹節の如くカッチカチになっているのだ。
「それでも一旦始めたからには後には引けない」
訳の分からない意地のような気持ちが湧いて来て、ひたすらひたすら削り続けた。
これは本当に鰹節と同じだな、食べ物を保存させる人類の叡智の結晶だ。
その叡智のおこぼれを私は余さずいただくのだ。
と、手の痛さを忘れるため自分に言い聞かせる。
しかしどうしてこんなに削りにくい形で売るんだ。
本体を円柱形に作ったって、売るときは棒状に切ってくれたって良いではないか。
パイの一切れみたいな形でなくなったら、パルメザンチーズとしての価値が落ちるという訳でもあるまいに…などと次第にモンク思考が湧き上がってくる。
子供の頃は朝、「鰹節を削って〜」と母に言われてよくあの固い塊を削ったものだった。
当時はまだ今のように削られたものが真空パックになったものはなく、大体の家庭ではサク状の鰹節の塊を専用の削り器で、使う度に削ったものだった。
真ん中に刃がついた、カンナのような木箱に沿わせて鰹節を上下にスライドさせながら削っていく。下部は引き出しになっていて、時折削った鰹節の量をチェックする。
これが、中々そう簡単には削れないのだ。
鰹節は物凄く固いし、今思えばあの刃も大した切れ味ではなかったのかも知れない。
しばらく削ってから引き出しを開けて中身を確認するのだが、鉛筆の削りカスのようなものがチョビッとしか溜まっていない。
引き出しを元に戻してまたシュコシュコと削り始める。
すぐ飽きて、また引き出しを開けてみる。
前と全く変わっていない。
また削る。
手が痛くなってちょっと休む。
また削って、2分もしないうちに引き出しを開けてみる。
「うわー、全然増えていない!」
あの時のイライラ感は忘れもしない。
あれからウン10年経った今になっても、鰹節に今ひとつ萌えを感じないのは、あのウンザリ感が多引いているのではないかと思うくらいだ。
イタリアの人はどうだったのだろう。
カチカチに固くなったチーズをどうやって降ろしていたのだろう。
イタリアの主婦の腕はさぞかし逞しかったに違いない。
昔は何で削っていたのだろう、木の鬼おろしみたいのものかなあ。
そもそも粉状にしていたのだろうか?
等などくだらないことを考えながら削っているうちに、チーズが気を許したのか、私の手で温まって来たのか、削るスピードが早くなってきた。
勢いをつけておりゃあああ〜、と外皮のギリギリまで降ろし切ると、結構な量のチーが粉雪のような山を作っているじゃあないですか。

辺りはチーズだらけ。でも、やったのだ、私。
まるで坂を思い切り駆け上がったような気持ちで自分を褒めてやる。
これはもう、アレを作る以外にないよね。
冷凍に眠っていたベーコンと、「5分で茹るフッジリ」を使って、簡単カルボナーラを作った。
コツはね、フライパンでベーコンと玉ねぎのみじん切りを炒めたところにちょびっと(小さじ1ぐらい)ナンプラーを振りかけて味を足すこと。
アンチョビを入れたみたいに味にコクが出るのでおすすめ。
それから茹でたパスタを入れて混ぜる。
火を止めてからパルメザンチーズと牛乳少しを入れたソースを入れて全体に良く混ぜ合わせる。
黒胡椒をたっぷりかけて召し上がれ!

何ヶ月ぶりかのカルボナーラに夫は大興奮で喜んでくれたし、
(来る日も来る日もトーストにヒュモスのランチにさすがに飽きていただろうと思う)
あの小さなチーズのカケラで2人分の濃厚カルボナーラができたことに私は大満足だった。
さすが人類の叡智の結晶の一つ、パルメザンチーズ。
チーズ関係のサイトを見ると、「パルメザンチーズは本来は冷蔵せずに冷暗所に保存するもの」と書いてある。
元々、保存食の多くは冷蔵庫の無い時代に人々が創意工夫をして作られたものだ。
でも現代、スーパーではどれも冷蔵ケースに入れられている。
そもそも冷暗所って、今時の家でそんな所、ワインセラーのある家ぐらいにしか無いんじゃないの?
カビが生えたら1、2cmほど切れば大丈夫って言われても、パックに入って売られているのは2cmぐらいしか厚みがないのに…
全く人類の叡智は悩ましい。
今度は忘れない内に、早めに使いきろうっと。


