藤棚のないイギリス?
5月中ばの今、ロンドンでは藤の花が満開だ。
あちらこちらの窓辺や壁をつたって咲いている。
以前も書いたが、イギリスで藤棚を見ることは珍しい。
ロンドンで見る限りは壁づたいが一番多いようで、3階建て建物の壁一面を藤が覆っている姿などたまにある。
3階分の花が満開になった時は正に壮観だ。
夜に窓を開けたらさぞかしいい香りがするのだろうなあ。
ズボラな私だったら、気がついたら部屋の中にまで侵入した藤が花を咲かせている、なんてことにもなりそうだ。
藤の主な種類と特徴
王立園芸協会RHS (Royal Horticultural Society) によれば、イギリスで藤は次の3種類の藤が主流だそうだ。
*Japanese wisteria・学名:Wisteria floribunda・日本での一般名:ノダフジ)、
*Chinese wisteria・学名: Wisteria sinensis ・日本での一般名:シナフジ)、
*Silky wisteria・学名: Wisteria sinensis ・日本での一般名:ヤマフジ)
知ったかぶりして書いているが、RHSのサイトページを読んで私も初めて知った。
それぞれの藤に特徴があり、どう見せたいかによって種類を選ぶと良いとある。
中でも日本藤は花の房が一番長くなるそうで、1.2メートルにも伸びるものもあるらしい!
それほどにも長く垂れ下がってい咲いているのは見たことがないが、なぜ日本では藤棚を作るのかは納得した。
RHSでもパーゴラやアーチに絡ませて育てるのに向いているとある。
公園や広い庭なら藤棚を作って日本藤を植えるというパターンもあるだろう。
藤棚の下で優雅にアフタヌーンティーを楽しめる庭なんていいなあ。
壁づたい伸びている藤の花は長く垂れ下がらず、ブドウの房のようにこんもり咲いているタイプが多い、そう言えば。
シナフジやヤマフジを選んでいたのだ、ふうううん。
他の木に絡まって咲いているのも多い。
強くどこでも伸びるものなのだな。
藤の花言葉も色々
ヨーロッパの藤は主に日本や中国などアジア圏から入ってきたので、東洋的イメージも強いのだろう。
木の寿命が長いことや、蔦も長く伸びることから、「賢さ」「忍耐力」「長寿」などの花言葉がある。
また花が多く連なって咲くことから「子沢山」などの意味もあるそうだ。
一方日本での花言葉はちょっと違う。
日本の花言葉はコワイ?
「藤娘」のように女性的なイメージが強いせいか、「優しさ」「恋に酔う」などちょっとロマンチックよりなものが先ず挙げられている。
それでいて、「決して離れない」などちょっと怖いものもある。
蔦が絡まるように、一度掴んだものはそう容易く離さない。
一見優美でたおやか、裏を返せばかなり執念深い。
んまあ、それはそれで女性らしい…と言えないこともない、かも。
そう言えば「鬼滅の刃」では、鬼は藤の香りに耐えられない。
藤の花を植えて鬼が入れぬよう結界を作っている、なんてあったっけね。
確かに藤の花は香りの強いものもある。
道を歩いているとフワーッと薫って来て、初めて近くの壁に咲いているのに気がつくこともある。
見上げるとそこには香りを届けてくれる藤の花、いいよねえ。
この短い季節を楽しもうっと。