日本とヨーロッパでは月のイメージが全く違う?。
2021年9月21日は中秋、そして満月。
日本では中秋の名月にあやかってお月見したり、お団子を食べたりのイベントの日。
イギリスでは?
特に何も無し、ググればムーン フェスティバルと出てはくるけれど、別にこれといったイベントがあるわけでもない。
お月見は中国から来た習慣?
中秋、又の名を十五夜とのお月見は元は中国にあった習慣だったらしい。
唐の時代(618〜907)にはすでに一般的な行事だったそう。
人が「秋の月を愛でる」習慣はそれまでにもあったに違いないけど、「中秋(仲秋)」なる言葉が入ってきたのは中国由来のものらしい。

イギリスにも「お月見」はある?
イギリスでも9月の満月は「ハーヴェストムーン(収穫の月)と呼ばれる。
秋は実りの季節であるから、美しい月を愛ながら収穫を喜ぶ気持ちが感じられる。
かといって月にかけたイベントは別にない。

月と「狂気」を結びつけるイギリス人
月にウサギを見たり、歌を詠んだり、満月をお供物と祝ったり、何かとロマンチックなイメージを月に抱く東洋人。
しかしイギリスでは、「月の光」を「狂気」と結びつけることもある。
英語で月は一般にムーン(moon)だが、ルーナ(lunar)という言い方もある。
そしてそのルーナを語源としたルナティック(lunatic)は、精神に異常を見せる状態を指す。
ルナティックの場合の異常とは、かなりエキセントリックだったり、そこにちょっと狂気を感じさせる危うさを指す。
何がなんでも初の人造人間を完成させようとして、つなぎ合わせた死体に電気を通すフランケンシュタイン博士なんかは、かなりルナティックなイメージだ。
なので、あの人はルナティックだ、などと簡単に使わないほうがいい言葉でもある。
月が呼び覚ます人間の本性?
オオカミ男は月の光を浴びると狼に変身してしまう男の話だが、月の光の影響でいつもはグッと抑えていた自らの狂気が出てしまうというのは面白い。
ちなみにウルフマンとアメリカ映画ではタイトルになっているが、イギリスでは狼男を「ウェアウルフ(werewolf)」と呼ぶことが多い。
シャーロックホームズにの「バスカビル家の犬」にも「言い伝えの魔犬」が出てくるし、「夜の闇」と「闇に現れる魔」は連想しやすい。
月の光はそのバックグラウンドとしては最適だとは思う。
月の明るさが作る闇の深さ?
確かに暗い夜空に輝く月を見ていると、確かに引き込まれて不思議な気持ちになる。
この明るさはどうだ?と思うほどに圧倒される時もある。
まだ電気がなかった頃、夜の闇がもっともっと暗かった頃に見る満月のインパクトはどれほど強いものであったろう。
まあ思わず外に出ちゃうよね。
昔の家にはガラス窓なんてのもなかったもの。
フラフラ〜っと出て調子に乗ってやらかしたことを「月の光のせい」にすることもあったかも知れない。
月の神様アルテミス
ギリシャ神話では月の神様はアルテミス。
太陽王アポロンの娘で、山を支配する「狩の神様」でもある。
アルテミスと狼男には「山」を含んだ「自然」が共通している。
自然に対する「リスペクト」と「恐れ」が共存している。
やはりそこには人間がコントロールできないもっと大きな力が存在している。
自然を支配するのは人間ではないのだ、と物語が伝えている。
それを昨今「地球温暖化」という痛い形で見せつけられているのだけれど。
月には「表」と「裏」がある?
ところで月には「表」と「裏」があるのを知ってました?
私はこれをほぼ日の天文学者・渡部潤一氏へのインタビュー記事で初めて知った。
「月の表は地殻が薄く裏は厚い」そうなんだけど…何のこっちゃ?
最初はどういう意味かも分かんないよ、と思った話が読み進めていくと、先生の話がとっても面白い。
月や天体にちょっとでも興味のある人は是非読んでみて。
太陽が膨れてそのうち地球に到達しちゃう!なんてホラーな話もされています。
ロンドンは今晩曇りの予報。
中秋の名月、見れるかなー。