全く語順の違う日本語と英語を同時通訳する場合、どうしてる?
英語を習い始めて最初に教わることだが、日本と英語は文法的に語順が違う。
私は 毎朝 学校へ 行く。
これを英語にすると、
I go to school every morning.
私は、行く、〜へ、学校、毎朝、だ。
主語の後に先ず動詞が来る。
私などはこの辺で目をパチクリさせていたと思う。
日本語と英語の一番の違いは語順?
大きな違いは英語の場合「する」「しない」(この場合は「行く」「行かない」)が主語のすぐ後に来る。
日本語は結論が文章の最後に来るので、最後まで聞かないと「する」のか「しない」のか、分からない。
「私はねえ…」と始まってから、途中説明が多い人の場合などいつになっても肯定なのか否定あのかがハッキリしない。
最後まで聞かないとイエス・ノーが分からない日本語
日本語から英語に訳す場合、焦って話の流れを先読みして「〜〜〜と思ってます」なんて言ってから、最後の最後にひっくり返って否定して終わることもある。
最後をわざとボカす人もいるし、
「そういう場合も時によってはないとも限らないかも知れませんね」
なんて、政治家か?
プロの通訳氏のツイッター
先日、ヒトミ ケンゴさんという方のTwitterを読んで感心した。
Yahoo!ニュース記事を通して知ったのだが、この方はフィリピンでプロの通訳士をされている。
同時通訳をする際に、自分の予想と違う結末だった場合、どう対処すれば良いのかの裏技にも触れていて面白いし、とても参考になる。
そして「同時通訳」を仕事としてするというのは大変な準備がいるのだな、と改めて思う。
プロの通訳は下準備が大事!
氏によれば、通常大きな会議などの通訳として参加する場合、最低2ヶ月前からその仕事の内容に関する膨大な資料を読み解き準備する、とある。
どの業界にも、その仕事内容や、そこでよく使われる言葉や言い回しを理解していなければとても同時通訳はできない。
会議が始まる時になって初めて資料を渡され、
「これでは仕事はできない」
とキャンセルして帰った人もいたという。
プロとして、そこでしどろもどろになったら次から仕事はない。
万全の準備あってこその仕事なのだ。
日常で英語を話す=通訳士、ではない
はあ〜、すごい!
日常で何となく英語を使っているからといって、通訳として通用するわけではないのだ。
全くレベルの違う話で恥ずかしいのだが、私も毎日のように日英同時通訳をしている。
いやこれ、夫と観るテレビの話。
夫は日本のドラマが結構好きなのだ、相棒とかね。
相撲の解説の通訳をするのも結構難しいが、ドラマはまた別の難しさがある。
セリフを逐一訳していたらとても追いつかない。
「相棒」なんて、右京さんのうんちくとか推理が長くて早くて、全く追いつけない。
「大河ドラマ」ときたら、時代と人間関係の説明だけで舌を噛んでしまいそうだ。
(実際噛んでるし!)
半分も訳さないでいるうちにどんどん会話が進み、自分の声で次のセリフが聞こえない時もある。
合間に横から夫のコメントや「え、なんだって?」が入るとそれだけでキレそうになる。
(必死で訳してる最中に横から喋るんじゃねー!)


基礎知識あってこその通訳
だがヒトミ ケンゴさんの通訳の仕事の話を読んで気がついた。
やはり通訳に必要なのは下地になる知識なのだ。
相撲でも、歴史でも、ドキュメンタリーでも、基礎になる知識あってこそ適切な言葉を瞬時に選べるのだ。
そして間違いがあってもフォローができる、軌道修正が直ぐできるのだ。
「あー、私に一番足りないのはそこだったんだなあ」
だからこんなに苦労しているのか、これほど年数を重ねても…
アクセントの強い英語にどう対応する?
ところでプロのヒトミ氏も「強いアクセントのある英語」に悩まされた駆け出しの時期があるという。
「英語」と言っても、イギリスやアメリカなどのネイティブばかりの通訳をするわけではない。
英語圏ではない外国人が話す英語を訳す場合も多い。
インドや中国、東南アジアなど、アクセントや抑揚が強い言語ベースの英語はまた特徴的だ。
聞き取るのが難しいことがある。
氏はこれらの英語に慣れるまでの苦労話と共に、慣れれば「愛らしい」までに感じる話などもされている。
ロンドンではそれが普通
これはロンドンに住んでいるとよーくわかる。
ロンドンはコスモポリタンだ。
私自身を含めて、外国人がとても多い。
首都であるし、イギリス国内の地方から来た人も多い。
ものすごく色々なアクセントが混じっている。
やはり慣れるしかない
その人が話し始めて、しばらくしてから、
「あ、英語だったんだ」と気づくこともにある。
そういう時は大体、アクセントが強い上にものすごい早口だったりする。
文法以前の話なのだが、これはしばらく聞いて耳慣れるしかない。
時間がかかるけれども、お互いさまでもある。
相手だってきっと私の拙い英語を分かろうと努力してくれているに違いない。
通訳あるあるジョーク?
最後に、ヒトミ ケンゴさんによる「通訳界に伝わるジョーク」。
通訳で、どうしようもないオヤジギャグなどを連発されたときに、
「He is telling funny jokes. Please laugh」
(面白いジョークをを言っているので笑ってください)


笑えるというよりは、耳が痛い。
特にめんどくさくなると、どんどんそうなっていく。
本当にプロというのはすごいなあ。