雲を真っ二つに割る不思議な青い帯!?
先日の買い物帰りのこと。
交差点で立ち止まり、ふと空を見上げたら雲の中を突っ切る長く青い帯を見た。
大きな虹がかかるように緩やかなアーチを描いて伸びている。
空を覆う雲を真っ二つに分断しているように見える。
UFOが雲を割って進んだような
アレは何!?
青い虹でもなければ飛行機雲でもない。
影のようでもある。
でもどうしたらあんなふうに見えるんだろう?
空を覆う雲もなんだか平たく広がっているようだ。
太陽が薄ぼんやりと雲の向こうに見えて、妙な景色。
「変になま暖かいしなあ…」
誰かに話したい!
不思議な雰囲気に呑まれてボンヤリ空を見上げていると、
「エクスキューズ・ミー!エクスキューズ・ミー」
と向かいから横断歩道を渡ってきたおじさんが、慌てた感じで声をかけてきた。
彼も空を振り仰ぎ、
「あれスッゴイ不思議だよね、飛行機雲でもないし!」
とかなり興奮した調子で話しかけてきた。
通りがかりの人と確認し合う
二人で空を仰いで
「あんなの見たことないよねえ」
「絶対飛行機が通った跡じゃないよね」
「ふしぎ、ふしぎ」
などと、しばし感想を述べてから、なんの答えにも辿り着かないまま、「じゃあね、グッデイ」とその場を離れた。
家に着くまでの道すがら、何度も空を仰いではまだ青い帯がそこにあるのを確認した。
「巨大な龍が雲の上を真っ直ぐ進んでいたら、あんな影が見えるのかも知れない」
「ナウシカだったらカッコいいな」
「『おかえりモネ』の西島英俊さんだったら答えてくれるだろうか」
とあらぬ想像をしながら。
(空を何回も振り仰いで歩くオバサンもはたから見たら不思議だ、きっと)
共有して共感したい!
それにしても人って面白い。
不思議なことがあると、誰かと一緒に驚きを共有したり、確認したくなる。
これが空に浮かぶ影じゃなくてUFOだったら、もう絶対、誰かれ捕まえて確認せずにはいられないと思う。
不安解消とも言えるし、
この興奮を高めたい!と言うのもある。
空に浮かぶ不思議な物体といえば
そういえば、ウッディ・アレンの映画に、空に巨大なお母さんが浮かぶ話があった。
「ニューヨーク物語」だったと思う。
生前も息子に一から十まで指図せずにはいられかったお母さん、
死後も息子が心配で突然空に現れる。
そしてまたあれこれと、中年にもなった彼の私生活に口出しをする。
それを眼下のニューヨーク市民たちが一緒になってあれこれ意見を出したり、お母さんの気持ちをくんだり、共感して感動したりもするのだ。
ブラックジョークが効いており、最後にはホロリとさせる話だったと思う。
そんな昔むか〜し観た映画のことをフト思い出した。
空には不思議な力がある。
ナゾは解けなくても共有したいのだ
家に着いてから夫に「ホラホラ!」と窓の外を指し示したけれど、その時には青い帯もかなり薄くなっていた。
あの驚きの半分も伝わらない。
「あれは何だろう、ナゼだろう」と思うドキドキした気持ち。
あのオジサンもあれから何回も空を見上げただろうな。
道で他の人をつかまえて、また「エクスキューズ・ミー」を繰り返していたかしら。
それにしても空を見上げている時、マスクのおかげでポカーンと口を開けているのを人に見られずに済んだ。
開いちゃうよねえ、驚くと。