ケンスケの王国(マイケル・モーパーゴ作)は子供に一度は読んで欲しい、希望と勇気の物語。夏休みにぜひ読んでみて!

子供だけでなく大人にも超おすすめの「ケンスケの王国」

夏休みに子供に(大人にも!)ぜひ読んで欲しい本、「ケンスケの王国」(Kensuke’s Kingdom マイケル・モーパーゴ作)をゴリ押し推薦したい。
内容は難しいものでは無いけど、10歳以上ぐらいが望ましいかな。

イギリスは元より世界で愛されている作家モーパーゴ

マイケル・モーパーゴ、映画にもなった「戦火の馬」の作者としてもよく知られるイギリス人作家です。

他にも有名な「プライベート・ピースフル」など、戦争ものの話が多い印象がありますが、それだけではありません。

戦争を間接的に入れた話が多いのですが、その対象年齢も多少違う多岐に渡った小説を書いています。

そしてそのどれもが読みやすい、語り口が優しい平明な文章で書かれています。

その中で「ケンスケの王国」は冒険ものであり、超感動もの、そして読後感が爽やか。

勇気と希望というものを物語全体を通して押し付けがましくなく伝えてくれる本です。

「ケンスケの王国」あらすじ

主人公はイギリスの少年、両親と共にヨットで世界を回る旅に出ます。

そこで彼らが出くわす激しい嵐、暗い海に投げ出されてしまう少年。
その彼が流れ着いた島には思いもよらぬ出会いと出来事があって………

と、ここまで書いたら既に、

「あー、だから”ケンスケの王国”ってタイトルなのね、そこに住んでたケンスケって日本人に助けられて最後にはめでたしめでたしって話なんでしょう。自然の中での少年の成長物語?宝島の亜流?」

なんて思いました?

甘い!

もちろん島に漂着してから少年のサバイバルが始まるわけですが、そう何でも簡単にことが運ぶわけでは無い。
むしろ物語はここからが本番なんです。

なぜ「日本人のケンスケ」だったのか?

何で“ケンスケ”がその島にいたのか?
そもそもどういう人?

どうやって言葉の通じない二人はコミュニケーションを取っていくのか?

何で日本人が出てくる必要があるのか?

どんな生活が始まっていくのか?

少年が両親に会える日は本当に来るのか?

どうやって希望をつないでいくのか?

どんな試練が彼らを待ち受けているのか?

何を自分の芯として生きていくのか?

この物語は全体を通して、信じることの大切さを教えてくれる

人が希望を抱くには、その先に自分が描く理想の姿や形、感じ方があって、そこに到達するまでのブレない自分が必要です。

この物語のテーマは何なのか考えさせられる

ブレない自分て何だろう?

それは自分がそこに行けると信じる心じゃなかろうか

理由はないけれど、訳のわからない確信がある。
だから今をやり抜いて行ける。

そこで生まれる必死さも、苦しくても辛いばかりではない。

だってその先には希望があるから、そして自分はそこに行けると信じているから。

自分でも思わぬ勇気が生まれることもある。

あまり内容に触れるとネタバレになってしまうから、多くは語らないけれど。
この本は子供に一生に一回は読んで欲しい小説の一つ。

読む年代によって感動するところもそれぞれ違う深さがある

10歳ぐらいだったら主人公の少年と一緒になってワクワクしたり、ハラハラドキドキしたりできるんじゃないかな。

もう少し大きかったら、(大人でも)もっと深く読み込んで感じられるところが多いと思う。
それは他のモーパーゴの小説同様に。

モーパーゴの語り口はいつも優しい。
そして心に残る。

人生に必ず伴う「理不尽な出来事」を逃げないで生きる人の心の内面やそれを受け入れる強さ。
そこから生まれる希望の兆しを描いてくれるからだと思う。

英語でも文章が優しくて読みやすいモーパーゴの作品

Koppa
中学生だったらぜひ英語で「Kensuke’s Kingdom」を読んで欲しい!

それぐらい平明で読みやすい文章で書かれている。

イギリスではエグモント社から出ていて、全体で挿絵も結構入って170ページぐらい。
(挿絵も水彩画がとても素敵、絵を見ながら楽しめるので手に入ったらお薦め。)

私の中学時代、最初の英語小説で読まされたのはディケンズの「クリスマス・キャロル」だった。
定番中の定番でそれもいいのだけれど。

ヴィクトリア時代に書かれたもので表現も難しいし、時代的背景を理解するまで時間がかった。
中々話に入り込めなかった記憶がある。

現代だったら「ケンスケの王国」とか、
ロアルド・ダールの「チャーリーとチョコレート工場」とかがいいんじゃないかな。

内容や主人公の心情が理解しやすいし、何より面白い。
(学校の先生方、お願いします!)

分かりやすいから英語で読んでも辛くない!
子供にとって、もっともっと興味を抱きやすいと思う。

もちろん、日本語に訳された方でも遜色ないと思うので、是非ぜひ。

「ケンスケの王国」は終わりもいい、特に結びの言葉が

「ケンスケの王国」は感動すること保障付き、もう最後は涙無くして読めませんよ。

最後の結び方もいいです。
自分も変わりたい、強くなりたいと思う。

あまり外に出られない今日この頃、閉塞感で乾きがちが心を潤してくれます、本当に。

他にも色々おすすめ、モーパーゴの作品

モーパーゴは「兵士ピースフル」や「戦火の馬」「世界でいちばんの贈り物」なども超おすすめなんだけど、こちらは背景そのものが戦争なので、年齢的には「ケンスケの王国」よりも少し上が対象です。

「読後感爽やか、読んで良かった!」を味わいたい人には圧倒的に「ケンスケの王国」をお勧めしますよ〜。

読み始めたら止まらないと思うので、一気に読んでね!