クリスマスキャロルに思う、過去、現在、未来をつなげる意味って?
クリスマスキャロル。
そう聞いてクリスマスに歌われる唱歌を思い出すより、お話のクリスマスキャロルを思い浮かべる人の方が多いんじゃないでしょうか。
イギリスの作家ディケンズによって書かれた有名な小説。
1843年に出版された、180年近くも前の話です。
毎クリスマスの舞台を始め、何回も映画化されているし、幾つものアニメにもなり、セサミストリートのマペットにも演じられた永遠のクリスマスストーリー。
もういいよってくらい映像化されています。
それでも不滅の人気、それは何故なんでしょう。
クリスマスキャロル あらすじ
今さらながらにちょっと大筋を説明すると、超絶ケチで有名な初老の高利貸しスクルージが主人公。
誰も愛さず、誰も信じず、金銭的に裕福であっても自分が人に与えるものは何もないと思っている男です。
まあ、「金はあってもミジメな男」を絵に描いたような存在。
金銭的には裕福であっても、仕事場で暖を取る石炭すらもケチりまくる。
人生の楽しみというものが一つとしてない、まあミジメこの上ない人生を送っています。
クリスマスなんて時間と労力の無駄?
当然クリスマスなんて無駄のムダに尽きると思っている。
経理秘書が家族のために半日休みを取るのにもいい顔をしません。
唯一の親戚、彼の甥が一緒にクリスマスを祝おうと誘ってくれても、心ない言葉を浴びせて追い返す。
与えるのが下手なら受け取るのも下手、の典型です。
彼はとにかく他人が嬉しそうにしていることが理解できないし我慢ならない。
クリスマスの精霊現る!
時はクリスマスイブ、そのスクルージに幽霊というか精霊らしきモノが訪れます。
精霊は3人。
それぞれがスクルージに彼の過去、現在、未来を見せる。
過去では商家の見習いとして働いていた頃の若い自分を見、
現在では雇用人の貧しくも愛のある一家の暮らしのあり様などを見、
最後は自分が辿るべき未来とその結末を目の当たりにする。
「そんなっ、マサカッ!」
分かっているはずの未来を見せられて人は驚愕する?
まー、このまま行ったら当然そうなるだろうって分かっているだろう。
くるべき未来に人は、
「あり得ないだろうっ!」
って驚愕するものなんだなあ。
他人のことは言うんだけどね、誠に自分のことは分からないものです。
自分の未来を見て「家に(現在の)返してくれぇっ!」と叫ぶスクルージ。
ハッと目が覚めるとそこは仕事場。
うたた寝していたことに気づく彼。
まだ「ここ」で良かったと気づく
その時彼は初めて「まだここで良かった〜」と現在の自分のある場所に感謝するんですね。
既に老人でも、
家族がいなくても、
現在友人と呼べる人がいなくても、
今あるものを認めて先ず感謝する。
そこから何でも足していけばいい、と気付くんです。
今あるものに感謝を始めた瞬間から人生が変わる?
それまでなんの楽しみも感動もないと思っていた彼の灰色の人生が、一夜明けたら全く違うものになっている。
現代に説かれる人生術が18世紀に既に書かれていた
クリスマス休暇中に定番のテレビ映画クリスマスキャロル(80年代に作られたっぽい)をボンヤリ見ていてハタと気がつきました。
これは今時よくある「今のこの世の中、人生をいかに大切に楽しく生きるか」的な人生術そのものではないか!

今の自分だけが自分ではない。
過去、現在、未来と合わせて自分の人生なのだ。
そしてそれは全部つながっている、当たり前のようでいて普段忘れているこの事実。
つい過去は過去、未来は今と違う未来、のように区別して考えている。
なぜか未来にばかり幸せを求めてしまう自分
そして何故か未来は「今よりいい」と理由もなく期待しているところがある。
当然今することが良きにつけ悪しきにつけ、未来に関わって行くのだけれど。
現在の自分を変えて行くことで変化するのは未来だけではない。過去もそうなのだ。
事象は変えられないけれど、現在を変えて行くことでその事ににわだかまっていた思いは変えられる。
過去でさえ修復できるんだ。
というか過去の持つ意味合いが自然に変わって行くのだと思う。
そしてそれが現在を通して未来につながって行く。
現在を幸せにすることが、過去も未来も幸せにする1番の方法だったんだなあ。
そういえば、こうありたいと思う未来の自分にアドバイスをもらいなさい、とエラソーに娘によく言っているよね、ワタシも。(汗;)
近代化が急速進んでいた時代背景
それにしてもクリスマスキャロル。
ディケンズがこの小説を書いたのは1843年。
近代化がどんどん進みビジネスのあり方も変わっていった頃のイギリスでの話です。
合理化が推進され、いわゆる「古き良き時代」が急速に失われて行った時代。
「なんか世知辛い世の中になっちまっったぜえ〜」
そんな中でディケンズが世の中に問うた「今の時代を人生を楽しく生きる万人必読の書」(今風に本に帯を付ければ)だったのかも知れません。
ディケンズも後々のハリウッドに多大な貢献をするとは考えなかったと思う。
でもこの小説は、後のイギリスのクリスマスのあり方に大きな影響を与えたそうです。
クリスマスキャロルがその後イギリスに与えた影響
実際イギリスでクリスマスプレゼントを交換したり、恵まれない人達にエイドをする活動が盛んになったのは「クリスマスキャロル」が世に出る事によって大きく広まったと言われています。
そう言えば「バンドエイド」もイギリス発祥だ。
私にしてみれば「クリスマスキャロル」は中学時代、英語の宿題で「無理やり読まされた」感のある小説でした。
なので長い間「クリスマスキャロル」=「メンドくさかった思い出」そのものだった。
今更ながらに14歳の自分と繋がったような?
読んだ時は教訓めいた古臭い話だと思ったけなあ。
でもまあ嫌々辞書を引き引き最後まで読んだから印象に残って、今こうして改めて受け止めることができるのかも。
これが昔サラッと映画を見ただけだったら、ああアレね、ぐらいだったかも知れない。
今になって急に14歳だった自分と繋がったような気がします。
それにしてもクリスマス。
日本でいうお正月みたいなもののせいか、終わるといつも「もう年が明けた」気分になる。
新年に向かう残りの数日がオマケみたいに思えるのも、クリスマスのギフトかな〜。