佐藤愛子著「90歳。なにがめでたい」を読んで共感&スッキリするのはどんな人?




佐藤愛子著「90歳。なにがめでたい」を読みました。

多くの人々の共感を得て大ベストセラーだそうですが、読者の殆どは愛子さんよりは年下に違いない。
読者層の中心がシニアといっても、60代だって愛子さんとは親子ほど歳が離れている。

Koppa
いったい人は何に共感しているのか?
そう思って読み始めました。

愛子さんは大正12年生まれ(!)の亥年。

え〜、ウチの母より一回りも年上じゃないの!
(その母から本を譲り受けたんですけど)

女性セブン(懐かしい響きだ)に連載されていたエッセイをまとめたものだそうですが、まー、のっけから最後まで愛子さんは怒りまくっている。

怒っているというか、世間というものに大きなクエスチョンマークを連発している。

「今の世間では“これが当たり前”というものがどうにも理に適わないように思える。」

「社会で起きていることがあまりに非現実で納得できない。」

「皆んなどうかしちゃってるんじゃないの!?」

「それとも私がおかしいの!?それとも今の世の中なの!?」

そう叫ぶ愛子さんの声が聞こえてきそうだ。

この本の帯を見ると、「読者からの共感の声が続々と届いている」という。

ということは、皆な愛子さんと同じように社会のあり様に戸惑っているし、怒りも感じている。

でも愛子さんの様に、思い切り自分の怒りを露わにしたりはしない。
理不尽さにぶつかって痛い目を見るほどの勇気を持ち合わせてはいない。

イライラモヤモヤした気分ではいるけれど、それをどんな形で表現していいかわからない。

(コンビニ店員相手にキレまくる、間違った表現をする人もいるらしいけれど)

そこへ愛子さんの舌鋒鋭い言いようを聞いて、そうだそうだと溜飲を下げている。

彼女は怒りを隠さない。
世間はどうあっても「これが私だ」と言う態度を崩さない。

“ペンは剣よりも強し” と言うけれど愛子さん自身、十分痛い目にも会っている。

かなり「悔しいーっ!!」という思いもしている。
かなり「尊厳を傷つけられる思い」もしているのだ。

それをまるで、全てのことに勝手に空回りして、一人で七転八倒している様を滑稽に映るように描いている。
あっちにぶつかり、こっちにぶつかり、いつも満身創痍な愛子さん。

でもその驚くべきエネルギーが、90歳の(か弱きあるべき?)女性から発せられているので喝采を浴びる。

愛子さんの怒りをぶちまける様を見て、

「スカッとしました!」
「痛快!」
「よくぞ言ってくれました!」

なんて言ってる、彼女よりずっと年下の人がそんなに多いなんて。

Koppa
それってちょっと、ナサケナイんじゃないかな〜
「自分も愛子さんの様に、理不尽と思うことには思い切り怒っても良いんだ。それで受ける批判も嗤いも痛みも受け流してやる!」

そう思っているか?
本当に「共感」しているなら、自分も同じくハッキリ自分の意見を言えるようになれるのか?

どうなんでしょうね、そこのところ。

この本、2017年の年間1位のベストセラーだそう。
最近の本が売れなくなった風潮で10万部も売れたらベストセラーと言われるのが、何と128万部は売れているらしい。

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ところで佐藤愛子さん、

私が若い頃、an ・anにエッセイを書いておられました。
たまーに買うぐらいの雑誌だったので数編しか読んだことはないけれど。

あの頃もいつも怒っていた様な気がする。
何事にもキビキビと、自分の意見を言う。

オバサンのパワーって凄いよなあ、と遠目に見る様な感想を抱いていたけれど。
自分がイザそのオバサンになってみると、それだけではなかったのだと気付いた。

自分のことを言えば、年を取って多少のことでは恥ずかしいと思わなくなり、かなり図々しくはなっている。

でもやはりコトがあった時はなるべく痛い目には会わずに済みたいと願っている。

その為に姑息に振る舞ったりしていることもある。
見て見ぬ振りをしていることも多い。

そこが違うんだなあ、彼女は。

ところでこのエッセイを読んでいると、愛子さんは怒りっぽい性格ではあるけれど、大変な人情家だと察せれられます。

自らが苦労人だから、人の痛みに感じやすい。
直情型で、人の苦労話に絆されやすいところがある。

そこがまた魅力的なのだけど、この性格が災いして思わぬ詐欺被害にあったことがあるのには驚いた!

すごい昭和っぽいエピソードではあるけれど、これは笑える。
抱腹絶倒ものですよ、本当に。

それと私が大好きなエピソードがもう一つ。

家の前に置き去りにされていた仔犬を、腹を立てながらも仕方なく飼うハメになったことがある、という話です。
これはね、もう、最後に泣きますよ。
読んで泣いてください。

あ、それとそれと。
愛子さんが愛読している「新聞の人生相談欄」の答えに対する独自の感想が面白い。

「私ならこう言ってやるのに!」

と、当たり障りのない答えを出した相談員になり変わって、トクトクと自分の意見を述べる。
かなり厳しく、いい加減目ェ覚ましたらどうなんだっ!?とばかりに。

これも可笑しい。
彼女のもどかしさが伝わってくる。

あー、なんだかんだ言って、
私もこの本を読んで溜飲を下げたクチかも〜

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