珍しいキノコを見つけたらどうする?
「今まで見たことのないキノコが最近生えてきたのよ」
義母が指差す先を見て、「わーお!」
おおこれは、図鑑に載っているような。
その姿からして「フクロダケ」とか何とかいうんじゃなかろうか。
中華料理に入っているアレとも似ているような気もするが。
謎のパフボール
真ん中に直径3cmほどのパフボールみたいなものがあり、その周りを花びらのように割れた茸が囲んでいる。
全体の直径は8ch〜10cm、地味な色合いだが結構な存在感だ。
ウェールズに住む夫の両親宅から庭に続く脇道。
辺りをアイビーが覆い、いつも頭上の木からの落ち葉がている湿った場所だ。
日が当たる時間も短く、キノコには居心地の良いベッドには違いない。
どこからか飛んできた胞子がここに落ち着いたのだろうか。
キノコと言えば頼りになるサイト
こんな時に頼りになるのが「ほぼ日」サイトのページの一つ、「きのこの話」だ。
北海道在住の写真家浅野文武さんが森で撮影した自然のキノコの写真を見られる素晴らしいサイトページだ。
写真が美しいだけでなく、その数、バラエティの豊富さに驚いてしまう。
いかにもキノコといった愛らしい形やデザインのものもあれば、宇宙から来た謎の生命体としか言いようのない粘菌などもあったりして、もう見入ってしまう。
添えられている浅野氏の文章も各々のキノコの生態や特徴を丁寧に説明されていて、何よりキノコ愛に溢れている。
北海道とイギリスでは土地質が違うが、緯度は近い。
似たような種類のものがあるかも知れないと思って、写真を全部眺めてみた。
そしたらちゃんとあるある、よく似たものが。
その名も「フクロツチガキ」。
押すべきか押さざるべきか
やはり中のフクロは虫や雨などの外からの刺激でプハッと外に胞子を出すらしい。
手で摘んでプハッと胞子を出してみたい衝動に一瞬駆られたが、やめておいた。
虫とか出てきたら嫌だもんな。
それにしてもキノコとは不思議な生物だとつくづく思う。
椎茸やシメジ、エノキ茸など身近な食材もあれば、「食べたらキケン!」なものも多い。
てか、食べたら危ないものの方が圧倒的に多い。
浅野さんのサイトで紹介されているキノコたちは、そのどれもが食べるのに適しているか、適していないか、または不明であるかがクイズ形式で記されている。
まさかこんな毒々しいのは食べられないだろう、と「食不適」を選んだりすると、「不正解、食べられます!」と出てきたりする。
一方「おとなしそうな顔をして実はすごくヤバイ奴」も混じっていたりする。
本当に菌類の世界は「人は見た目だけでは分からない」の上を行く分からなさなのだ。
果てしないトライ&エラーの末にあるしめじご飯
人類は長い歴史の中で一体どれだけのトライ&エラーを繰り返して今に至ったのだろう、と想像してみる。
人類の歴史はそのほとんどが飢えとの戦いの連続だったはずだ。
そこで多くの人々が危ない橋を渡りながら得た知識の恩恵を今の私たちが受けているのだ。
しめじや舞茸の炊き込みご飯、
ナメコと豆腐の味噌汁、
採れたての椎茸を網で焼いてじゅっと醤油を垂らしたらもう最高。
おまけに昨今はヴィーガンブームということもあり、キノコ類がますます人気を高めている。
免疫力が高まるなんて話もある。
でもここまで来るのにそれはそれは大変だったのだろうなあ。
先祖の皆さま、ありがとう。
キノコさん、ありがとう。
ところでこの「フクロツチガキ」はやっぱり「食不適」だった。
仮に大丈夫と言われても、試してみる勇気はない。
それがキノコなんだよねー。