カズオ・イシグロノーベル文学賞受賞!に見る日本とイギリスの意外な温度差

カズオ・イシグロノーベル文学賞受賞!

先日、日本生まれの作家カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞しましたね。
素晴らしい!

「日本人が受賞!やったー!え、村上春樹じゃないの?カズオイシグロ…誰ソレ?」

多くの日本人がこんな反応をしていると、イギリスのニュースサイトの一つが揶揄していました。

受賞当日のトップニュースになったものの、イシグロは日本ではそれ程知られた存在ではないのだ、と。

イギリスでは人気の実力派作家
日本での知名度は意外に低い?

カズオイシグロと言えば、イギリスでは大変人気のある実力派作家。

エマ トンプソンとアンソニー ホプキンスが出演した「The Remain of the day」(日の名残り)、

最近ではキーラ ナイトリーなどが出演した「Never let me go」(私を離さないで)の原作者であることでも有名です。

が、映画は作品のオマケ感が強く、やはり彼の作品そのものがイギリスでは一番に高く評価されているのです。

「The buried Giant」は10年ぶりの新作

最新作「The buried Giant」が2015年に発表された時には、「Never let me go」以来10年ぶりの新作という事で大きな話題になりました。

カズオ・イシグロはイギリスではベストセラー作家ですが、確かに日本では知名度や人気度がそんなに高くはない。

ニュースサイト記事によると、日本では彼の作品は早川書房の独占契約となっており、過去16年に出版された8作品の総売り上げは100万部にも満たない。

「私を離さないで」に綾瀬はるかが出演・原作が知られることに

BBCha続けて、”辛うじて「私を離さないで」がテレビドラマ化され、人気女優(綾瀬はるか)が起用された事で多少名前が知られるところとなった。”

”それが今回のノーベル賞受賞で出版社は即日20万部の発注を受けたそうである…”などとチョット皮肉交じりです。

イシグロ氏はイングリッシュジェントルマン

イシグロ氏は長崎に生まれて5歳の時にイギリスに移り住んだそうです。

テレビのインタビューなど見ると、全くのイギリス人です。
話しっぷりといい、立ち振る舞いといい。そしてとても感じがいい。

以前日本のテレビ番組「文学白熱教室」で、カズオイシグロが日本の大学生グループと対話しているのを見た事があります。

自分が小説を書く上で何を大事にしているのか、どうやって設定を決めているのかなどを、奇をてらうでもなく丁寧に説明していました。

また学生達の質問にとても誠実に答えている。
上から目線ではなく、距離を置こうとせず自分の考えを伝えようとする、相手に寄り添うような真摯な印象を受けました。

イギリス人に勧められ初めて著作を読む

こんな事を書いている私も、イギリスに来た当初は全くカズオイシグロの名前す聞いた事がありませんでした。

職場の、ちょっと年上のイギリス人男性から「最近読んだ本で一番良かった本」の作者として初めてその名を聞いたのです。

その人にしてみれば、私が日本人だからその話題を振ってくれたのに、
「カズオ イシグロ?誰ソレ?」

全く気が抜けたに違いありません。

その時彼が勧めてくれた本「An Artist of the Floating World」。

読みかけて、25年も放って置いたままだったのを急に思い出しました。
私もこの機会に初めっから読み直そうっと。

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