鳥にラードや肉の脂身をあげてもいいの!?

鳥にラード(豚の脂)をあげてもいいの?

答え: はい、鳥に純正なラードやスエットならあげてもいいんです、でも加工肉の脂身はダメ!

私はそれを先日知ったのだった。
激しい後悔と共に…

ハムの脂身はどうなの?

先日、ウェールズに住む夫の両親宅を訪れた時のこと。

ローカルの、美味しいことで有名な燻製場にハムを注文して届けてもらった。
ハムと言ってもチューブ状に整えられた、あのお歳暮でよく見るタイプではない。

2kgほどあるドカンとした大きな塊で、中々の迫力。

「うわあ、はじめ人間ギャートルズみたい!」(古い)

肉の塊というのはナゼ人をこうも興奮させるのか。

大きなハムを囲んで皆すごいすごいと盛り上がり、早速その日のランチのメニューと決まった。

マスタードをつけ、ピクルスやチャツネを添え、赤ワインと共に楽しむ厚切りのハム。
丸く形付けられ、薄切りにされパックに入ったたハムとは味といい香りといい全く別物の美味しさだ。

旨い旨いと盛り上がりながら食べたものの、メタボ年齢の私たち。
「やっぱり中性脂肪がなあ」

唯一の若者ティーンのムスメも「ニキビできちゃうからなあ」

皆、名残惜しそうにハムの脂身だけを残した。

「捨てるのはもったいないよねー」

そこで夫が、
「鳥にあげよう!」

「えー、鳥が消化できるのかな?」

「大丈夫だよ、だって鳥にラードボールあげるじゃない」

ラードボールとは?

イギリスの庭では鳥用の餌カゴを木の枝から吊るしてあるのをよく見かける。

ラードボールとはラード、または牛の脂身のスエットを熱で溶かし、冷えたところを丸めたものだ。
これに鳥の餌となる実や穀類などを混ぜて丸めることもよくある。

これをカゴの中に入れて吊るしておく。
豊富な脂がイギリスの寒い冬を越す鳥たちのエネルギーになるのだ。

細かく切れば大丈夫?

夫はハムの脂身をキッチンバサミで細かく切ると、庭にある鳥の餌用トレイにこんもりと盛った。

結構な量だ。

「トラファルガー広場の鳩なんてハンバーガーだって何だって食べて生き延びてるんだから」
と自信満々の夫。

まーね。

あそこら辺の鳩たちは、ハンバーガーやケバブの残りを拾っては突いているよなあ。

都会に住む野生の生き物は胃袋強そうだ。
そうじゃないと生きていけないだろうし。

しばらく様子を伺っていたが

鳥が集まってくるかどうか、しばらく観察していた。
鳥じゃなくてキツネとかが匂いを嗅ぎつけてやって来るかもしれない。

だがその気配も全くないので、そのまま忘れてしまっていたのだ。

誰が最初に見つけるか?

が、翌朝見に行ってみると、一欠片も残っていない。
きれいに跡形もなくなくなっている。

何が来たんだろう。
鳥かな、狐かな?

その答えはその後に分かった。

マグパイだ。

マグパイはイギリスの広い範囲に住む鳥。
小型のカラスぐらいの大きさで、白と黒の模様がはっきりしておりすぐにそれと分かる。

悪食で何でも食べるとか、光ったものが好きで何でも集めているとか言われている。
とてもきれいな鳥なのだが、都会ではあまり歓迎されていない印象の鳥だ。

「マグパイかあ、やっぱりなあ」
と感心したような夫。

トレイに降り立ったマグパイは、明らかにハムを探している。

「あれ?ないなあ。さっきのアレ、もうないのかなあ」
というマグパイの心の声が聞こえるようだ。

まだ匂いは残っているのだろう。
小さなトレーを隅から隅まで探し、念のためにトレイの下側まで首を伸ばし確かめていた。

「よっぽど美味しかったんだろうなあ」

マグパイはしばらく留まってトレイをコツコツくちばしで突いたりしていたが、とうとう諦めて飛び去ってしまった。

ちょっと気の毒。
でもたまのご馳走ってことで。

でもあんなにあったの、一羽で食べちゃったのかな。
食べちゃったんだろうなあ。

今更ながらにググってみたら

ふと不安になった。

鳥は豚の脂身を消化できるのか?

大体いくらエネルギーが必要だからって、食べ過ぎはマズイよね。
鳥にメタボとかないの?

慌ててググり、「鳥に餌をあげる際に」関連のサイトをいくつか読んでみた。

どれも大体同じことが書いてある。
そして冷や汗が出た。

「ラードやスエット(牛の脂身)OK。でも加工肉はNG」

サイトによれば、鳥は加工された肉をきちんと消化できない。
害になるので食べ残りの肉や脂身などを鳥にあげてはいけない
、とある。

謝っても遅いけれど

うわあああ、ごめんなさい!
マグパイ、ごめんなさい!

すっかりビビってこれを夫に話すと、
「大丈夫だよ、まれに一回食べたって。マグパイはタフだし、あんなご馳走信じられなかったに違いないよ」

うーむ、そうかもしれないが。

ハムを求めて再び戻ってきたマブパイがハラ痛を起こして芝に突っ伏しているんではないか?

そんなことを想像してその後もトレイ付近にチラチラと目をやっていたが、ついにマグパイの姿を庭で見ることはなかった。

無知のせいで、マグパイに禁断のハムの味を覚えさせてしまった。
ご馳走は一回切り、ということで、ごめんねー。

野生の生き物にあげていいもの悪いもの

ちなみに鳥は乳製品も消化できないのでバターもダメ。
植物油だからといってマーガリンもダメということだ。

鳥を飼っている人には当たり前のことだろうが、サイトを読むまで全く知らなかった。

人間が食べているものを欲しがるからといって、それを動物にあげていいという分けではない。
私たちは別の生き物なのだ。

特に動物&鳥類は、食べられるもの食べられないものがはっきりしている場合が多い。

そんな当たり前のことを忘れていた。
考えてみたら、何でも食べちゃう人間ほど、悪食な生き物はないかもなあ〜。