コロナウィルス感染拡大でポストアポカリプスのイメージが本物に!?ロンドンの地下鉄に見る非現実な現実



これはポストアポカリプスのイメージそのもの?
一瞬そんな感覚に囚われてしまった。

先日、どうしてもの用が一つあり、6週間ぶりに地下鉄に乗る。

慣れ親しんだはずの駅が何か別のようなものに見える、不思議な感じ。

早朝でも思ったより人が多いとは思ったが、混んでいるというほどでもない。

当然のことながらそれぞれが一人一人。
お喋りする人もいないからとても静か、皆な距離を置いて電車を待っている。

プラットホームにもいつの間にか安全距離を示すブルーステッカーが貼られるようになったのだと初めて知る。

目的地駅に着くと、そこは閑散としている。

私の他に前方で階段を降りる人が一人。
70歳ぐらいだろうか。手すりにつかまってゆっくりゆっくり降りていく。

彼が降りるのを待って、私も後から階段を降りる。

乗車駅でもそうだったが、降車駅でも常にスピーカーから繰り返し繰り返し女性の声のアナウンスが聞こえる。

「どうしても必要な場合にだけ電車を使ってください」
「その他は決して移動しないでください」
「医療機関を守るために家にいてください」

その声がまた、ゆっくりで機械的。
ライフレス、全く生命感が感じられない。

Koppa
とにかく暗〜いの

正にアレ!
ポストアポカリプスのイメージそのものじゃないの!

12モンキーズかこれは!?
(知ってますか?ブルース・ウィリス主演、テリー・ギリアム監督の)

薄暗い構内にボワボワ〜っとエコーするその暗い口調。

Koppa
ちょっと演出がキツいんじゃないか!?

感染を広げないために、不要不急の用で気軽に出かけて欲しくないのは分かる。
医療機関にこれ以上の負担をかけないよう全員が努力しなければいけないのも知っている。

てか、誰だって用もないのに密室の電車に乗ってわざわざ出かけたくないよ!

でも医療機関に携わる人たちだけでは無く、キーワーかーと呼ばれる人たち、私たちの生活に必要な仕事を請け負っている人たちも沢山いる。

スーパーに行けば食料品や生活必需品が買えるのも、

タップをひねれば飲める水が出てくるのも、

ガス電気がまだ使えるのも、

ごみが毎週回収されるのも、

みんなそのキーワーカーが働いてくれているおかげではないか。
その全員が徒歩で通勤できるわけでもなく、自分の車で通えるわけではない。

みんな嫌々電車やバスに乗っているんじゃないの〜?
その人たちが毎日行きも帰りもこんな暗いアナウンスを聞かされているんだなんて。

ますます暗くなっちゃうじゃないの!

それだったらもっと明るい声で、

「キーワーカーの皆さん、今日もご苦労様です!皆さんの仕事が私たちの生活を支えていてくれます。今日もありがとう!」

「お互いに安全距離を保ってくださいね。そしてキーワーカーの方以外は移動せず、おうちにいましょう!ハバ グッデイ!」

ぐらい言っても良いんじゃないか?

カウンシルに手紙書こうかな。
「ただでさえ暗いロンドンの地下鉄をもっと暗くするのやめてください」って。

この経験で突然、昔映画館で見た「12モンキーズ」が蘇ってきた。

12モンキーズはブルース・ウィリス主演。
テリー・ギリアム監督。

(テリー・ギリアムはモンティ・パイソンのアニメーションを作っていたアーティスト。ポストアポカリプス映画が得意で他に「ブラジル」を演出。「ブラジル」も凄かったな)

思えば12モンキーズも細菌で世界が壊れた後の話だった。

テリー・ギリアムの演出が、最後まで緊張感が切らさず、良くできた映画だと思う。

終末を迎えた世界のその後、ポストアポカリプスをテーマにした映画は色々ある。
その中でも(私が観たものの中では)話そのものに一番引き込まれた映画だった。

ブルース・ウィリスのファンではなかったけど、12モンキーズの彼はいつものエゴが抑えられていて、すごく良かった。

あの時は「お話」の中にある近未来の世界だと想豫して観ていたんだけどね〜。