毎日がストライキ!? ますます回らなくなるイギリス社会

毎日がストライキ!?

「えっ、次はパスポートオフィスがスト!?」

朝のニュースを見て驚き、娘の部屋にすっ飛んでいく。
「パスポートオフィスが4月から5週間のストに入るってよ!アンタもう更新しなきゃって言ってなかった?」

ムスメはベッドから飛び起き、
「ありえないーっ!!」

パスポートオフィスがストに!

イギリスはもうすぐイースターホリデイに入る。

それでなくても春から夏に向けて人の移動が多く、パスポートオフィスは忙しい季節だ。

もちろんそれを狙ってのストである。

ただでさえ公的機関の作業が遅いイギリス。
5週間もスタッフがストをすれば、どれだけの悪影響が出るのだろう。

地下鉄のストが終わったと思ったら

今週は3日間、ロンドン地下鉄のストがあった。
交通ストで大学の授業はオンラインになっても、バイトには行かなければならない娘であった。

先日も、バイト先から雨の中を1時間近く歩いて帰宅したばかり。
「あの超混み合ったバスに乗るくらいだったら、まだ歩いた方がマシだと思ったからー(怒)」

朝も9時に始まるバイトに間に合うよう7時過ぎにに家を出て行ったっけな。
「1日が長くて疲れたよ〜(怒&怒)」

その矢先に「今度はパスポートオフィスのスト」と来た。

「ムカつく〜〜〜」と嘆くムスメ。
が、どうにもならない。

だから早くやれって言っていたのに、と思わず口をついて出てしまう。

「だって先月は大学の課題で徹夜が続いて、ニキビが目立ってたんだもん!そんな時に写真撮りたくないよーっ」

やれやれ。

スト続きのイギリス

今年に入ってからイギリスではストが続いている。

鉄道やバスを始め、
大学を含む学校の先生、
看護師、
消防士、
救急隊員、
郵便、
地方によってはごみ収集などの清掃員。

これらが日替わりで次々にストを決行している。
毎日のように何かしらのストがあるのだ。

加えて4月には、
パスポートオフィスやジュニアドクターのストも予定されている。

それらどれもが一般の生活に欠かせないものばかり。
(だから公共機関なのだ!)

皆の生活が逼迫している

イギリスではウクライナ x ロシアの戦争を受けて、ガス&電気の光熱費がほぼ倍になった。

加えてブレクジットによる物流の滞り、また労働力不足も起きている。
(政府はブレクジットは関係ない!と主張してはいるけれど)

これら諸々を受けて、かつてない程のインフレに見舞われているのが実情だ。
全てのものの値上がりがハンパない、買い物いくたびに怖いよ〜。

インフレを抑えるために政府は金利を昨年から数回にわたって上げている。
これがまた住宅ローンなどを抱えている人の生活をさらに厳しいものとしている…

政府に怒っても影響を受けるのは?

公共機関で働く人々にとっては訴える相手は政府しかいない。
ストという形で賃上げ、労働条件改善に訴えているのだ。

これ対して政府は「ない袖は触れない」とばかりの対応をしている。

労働者側の3%アップの要求に、政府側の1%なら出しましょうの折衷案では受け入れられない!などなど、どれもお互いの距離が大き過ぎるのだ。

おまけにあちらもこちらもで、全要求には応えられない。

コロナで国の借金がさらにかさんだ事もあり、政府は公的予算の何をどう切るかばかりに注力している。

サービスの削減もあり、人員カットだってある。

働く側にとっては仕事の要求ばかり大きくなり、職を失う不安もあり、加えて生活は苦しくなる一方という不満、不安が募っている。

スト → 交渉決裂 → さらなるスト、という悪循環。

分かっちゃいるけど止められない、
もうウンザリ〜。

お互いに苦しめあってる?

みんな苦しいのだ。

ストをする人たちも生活が苦しいからやっているのだし、
その影響を受ける一般の生活もさらに苦しいものとなるという、負の連鎖が続いている。

お互いが首を締めあっているようではないか。
そして終わりが見えない。

あー、暗い、
イギリス社会全体が暗い!

それでも春は来る!

もうすぐイースターが来て、サマータイムになるのが救いだ。

イースター(復活祭)を祝い、イギリスが新たに生まれ変わるチャンスがあるのか?
チョコ食べて、イースターバン食べて終わるんじゃないのか?

それはまあ、政府が変わるわけじゃないしね。(次の選挙までまだ2年もあるし!)

いきなりエネルギー問題が解決されるわけもない。

それでも自分たちの心の持ちようだけは変えることができる。(と信じる!)

日が伸びて明るい季節になるし、
暖房も要らなくなるではないか。(こっちが大きい!)

パスポート申請で一番大事なもの

それにしても、

パスポート写真のスマホ撮影のために早速洗顔後、
クレンジングマスクを施し、
さらに保湿パックをし、
それからナチュラルメイクを丹念に施す。

これら娘の努力には呆れつつも感心した。

「だって今度のパスポートは10年分でしょ!」

そう、成人して10年パスポートが取得できるようになったのだ。
(パスポートに印刷された画像は、これでいいんかい!?って程ボワ〜っとしてるのだけど)

そうやってパックが乾くのを待っている間にも何千人、もしくは何万人もの人たちがすでにオンライン申請に殺到しているだろうけど…

まあこの後に及んで、今更慌てても遅いかもしれないし、

こればっかりは当人の気持ちの問題だからなあ、グッドラック!