コロナ感染再び拡大中のイギリス、一体何が起こってるの?
先日近所のスーパーに寄ったら「あれ、何かが違う?やけにサッパリしてる」と感じた。
「矢印ががくなってる〜」
コロナが蔓延し始めてから、多くのスーパーマーケットでの買い物は一方通行になっていた。
床には進行方向矢印がペタペタと貼られていた。
当初のパニック買い混乱を軽減するためと、買い物客が対面ですれ違うのを避けるためだった。
その矢印がある日、きれいサッパリなくなっていたのだ。
そして店内を見回すと、スーパーの店員が誰一人としてマスクをつけていない。
各自動精算機の間にあったプラスチックパネルも全部取り払われていた。
「店内でのマスク着用は義務ではありませんが、買い物の際は着用をおすすめします」のポスターも取り除かれていた。
サッパリもするはずだ。
「え、え、え、いいんかい〜」
スーパーがすっぱり「もう制限やめた!」を体現している。
もうあとはリスク回避も全部自己責任で、てことになったらしい。
規制を早く緩めた結果?
イギリスでは今年2021年7月以来、コロナ規制をグッと緩めている。
感染数がだいぶ低くなったのと、ワクチン接種が進んだことで政府が踏み切ったのだ。
感染数が低くなったと言ってもまだ1日に1000人を超えていた。
接種だって若者層にはまだ十分行き渡ってはいなかった。
それでも政府は経済を優先させた。
ロックダウンが続けば補助金を出し続けなければならないとか、
規制で外に出ないことで精神的にダメージを受けている人が急増してるとか、
このまま経済が停滞及び縮小していくと回復に時間がかかりすぎるだろうとか、
理由は色々あった。
規制緩和で誰を一番喜ばせたいか?
だが何よりも、コロナ規制が長引けば長引くほど人の不安や不満は高くなる。
それが政府への批判につながるのを何より恐れたのだ。
つまり不人気になりたくない!
次の選挙に影響しちゃうし!
が一番大きかったのだと思う。
人々を喜ばせるには段階的に規制を緩めるよりも、一気にパッと「今日から大丈夫!」と言った方がインパクトが強い。
医療科学者が、
「ワクチンが開発されているからといって、デルタ株など新しいタイプのも出てきている。まだまだ予断を許さない!」
と警告しているのにもかかわらず、
「規制を外せるというところまでリードしてきた私たちの肩を叩いてやりたい」
的に、一般規制をいっぺんに殆ど外してしまった。
これによって喜んだ産業は多い。
飲食業、接客業、旅行業、それに関わるビジネス等など。
確かに多くの人にとってこれは死活問題で、ひいては社会全体の問題ではある。
営業規制を外すにも、こちらはOKだけどあちらはダメ、というわけにもいかない。
必ず大きなブーイングが出る。
それなら全部いっしょOKにしましょう、夏のかき入れ時に間に合わせましょう、と進めてしまったのだ。
そして夏は終わり、学校が始まり、10月現在。
BBCの発表によれば、全国でここ1週間の平均感染者数は4万人を超えている。
1日の死者は100人越えだ。
これはヨーロッパの中でもダントツに高い。
(もうヨーロッパの一部じゃないけど…)
イギリスの何がそんなに悪いのか?
一体なぜイギリスばかりがダントツに悪いのだろう?
医療科学者によれば、
他のヨーロッパの国に比べて早く規制を解いたこと、
今は感染率の高いデルタ株がケースの殆どをしめていることが大きいという。
しかしそれに加えて、一般の人々の意識の低さも大きいのではないかと思う。
他のヨーロッパの国では知らないが、
ロンドンの街中では、外でマスクをしている人は殆どいない。
スーパーなどでは半分にも満たない。
一応マスク着用義務付けられているロンドンの地下鉄やバスなどでも、していない人を必ず数人は見る。
カフェやレストランに入るのに、フランスのようにワクチンパスポートは求められない。
ホリデイとパーティーが大好きな国民である、等など。
全ては自己判断と自己責任で
元々ワクチン接種やマスク着用に最初から反対している人たちも多くはいたが、これとはまた違うタイプだ。
「別にいいんじゃね?」の層が大きいのだ、と思う。
イギリスではこの1年半で13万人以上の人がコロナで亡くなっている。
日本などとは桁違いの数なのだ。
あまりにコロナ被害が大きかったのと、2度のロックダウンなど厳しい規制が長く続いた果てに、人々は疲れてしまった。
そしてついに慣れちゃったのだ。
そうして、
「その内誰かがなんとかしてくれるから、それまで知らんふりして生きていきましょうよ」
に行き着いたのじゃないかなあ。
政府が規制を大きく緩めるにあたり、
「もちろん感染対策への意識は高く持つべきですが、そこのところはイギリスにおいて個人の良識を固く信じています!」
と言い放っていたジョンソン首相の丸投げな態度に通じるところがあると思う。
実のところ、そういう私も一昨日買い物に出た際、
「あ、マスク忘れた!」と近所のハイストリートに向かう途中で気がついた。
以前なら10分歩いても取りに戻ったものだがその時は、
『ま、いーや、今回は』
と、そのままマスク無しでスーパーに入ってしまった。
早朝の比較的空いている時間ではあったが、以前なら考えられない。




感染率の上昇と反比例していく人の意識の低下。
それってワタシのことよ〜、とちょっと反省した。
スーパーも行く店によって、店員がマスクをしていたりいなかったり、実にまちまちだ。
これを全く統制が取れていないというか、個々の自己責任とされているのか。
それもまたイギリスらしい、といえばそれまでだけど。
「特効薬でも開発されない限り、イギリスでコロナが沈静化するのはまだまだ遠いような気がする」
ワクチン接種を受けていても感染する人はいるし、重症化する人もいる。
何ヶ月も前にかかった時からの後遺症に悩む人も多い。
コロナ以外の治療、手術などが必要な人も今までのしわ寄せが大きく受けられずにいる人も多い。
人は自分が痛い目を見るまで中々その気になれないものだ。
その身になって初めて後悔するんだけど、その時は遅いんだよね、もう。
次はスペアのマスク、買い物バッグにいくつか入れておこうっと。