議員辞職でまたお騒がせ!?ジョンソン前首相
イギリス首相を辞任してもまだ国会議員を続けていたボリス・ジョンソン氏。
彼が突然の辞意を発表した直後、ニュースといえばそれ一色となった。
ジョンソンん氏は
「自分は辞任に追い込まれた」
とコメントしている。
辞める気はなかったのにイヤイヤ議員職を辞任させられた、と言っているのだ。
辞職表明したのが金曜日の夜、
直ちにニュースはそれ一色になった。
そもそもナゼ首相を辞任したの?
そもそもジョンソン氏が首相を辞任した経緯は、
「コロナ禍の最中パーティーに数回参加していた」と
いう事実を追求されてのことだった。
2020年、コロナ禍激しいイギリスではロックダウンが3回もあった。
毎日のように死者数が1000人を超え、厳しい外出規制措置を取らざるを得なくなったのだ。
外出規制に伴い、パーティーなど人が集まることも当然禁止。
前の年から予約していたウェディングパーティーなども全部キャンセル。
コロナで家族や友人を失った人たちなどはお葬式が挙げられないだけではなく、感染危惧を理由に遺体にも会えない。
そんな人たちが大勢いたのだ。
それもこれも勢いの止まないコロナ感染を広げないため。
政府が国民を守るためにこうした措置をとっているのだ…と国民は不承不承ながらも納得していた。
大嫌いなマスクだった着けるようになったのだ。
(「マスクしないぞデモ」まであった。それぐらい皆んな最初は嫌がっていた)
信じていたのに裏切られた!?
しかしまさか、
それを決めた当の本人たちが、
裏では好き放題に官邸でパーティーしていたとは!
おまけにその一つは故エリザベス女王の夫・エジンバラ公のお葬式の翌日だったというではないか。
(エリザベス女王が一人きりでぽつねんと教会のベンチの端っこに座っていた映像は痛ましかった)
「信じていたのにアノヤロウ!」
…と国民の怒り凄まじかったのは記憶に新しい。
ついでに隙あらばジョンソンの足元をすくってやろうと狙っていたライバル達の働きも後押しになったに違いない。
パーティーってどれほどの規模?
「パーティー」と言っても飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎをしていたわけではない(らしい)。
でもここは政府が違法と決めた行為を自らが犯した事実が問われている。
国民に「やるな」と言っていたのはジョンソン政府なのだ。
ジョンソン氏はしばらく「そんな事実はない」を主張していた。
しかし証拠写真や証言なども現れ始め、先ずパーティーに参加していた数人が辞職。
とうとうジョンソン氏も任期半ばで首相を辞めることになったのだ。
それが2022年、まだ去年のことだ。
首相を辞任しても議員で踏みとどまる
しかしながらジョンソン氏は「パーティーの責任を取って首相を辞任」したわけではない。
自分は認めたわけではないけれど、この一連のスキャンダルが保守党のためにならないということで辞任に追い込まれたのだ。
それでも彼の粘り腰がすごいというか、国会議員ではあり続けた。
(この辺がイギリス政治のよく分からないところだ)
しかし今回はそれも辞任することになった。
それもジョンソン氏は「無理やり辞めさせられた」と行っている。
辞めないなら「クビ」にする、とで脅かされたかのように。
確かに「辞任」と「罷免」は今後政治にとどまるのであれば天と地の違いだけれど。
辞めたら辞めたでお騒がせ!
しかしこの世間の注目度、さすがジョンソン氏と思わぬでもない。
思い返せば、
初めて議員当選した時もお騒がせ、
ロンドン市長に選出された時もお騒がせ、
外務大臣になってお騒がせ、
ブレクジットを先導してお騒がせ、
ついに首相になった時にも超お騒がせ、
首相任期中にも数々のスキャンダルでお騒がせ、
首相辞任に追い込まれてお騒がせ、
そして今回、議員辞職でお騒がせ。
ジョンソンとトランプは似ている!?
結局メディアはジョンソン氏が大好きなのだ。
不思議なカリスマ性があり、話題が絶えない。
マイクを向けるとエンドレスで喋ってくれる。
(とにかく出るのが大好き!)
この辺よくトランプ前大統領と比べられる。
ジョンソン氏はトランプ氏ほど傲慢というか、尊大ではないと思う。
どちらも極端に自己中心的で常軌を逸している、という点では確かによく似ているけれど。
どちらも世間でもまだ一定の人気がある…らしい。
「またボリスに首相になって欲しい」
と言う老齢のカップルがBBCニュース・街角インタビューでに答えていた。
BBCが意図的に編集して選んだにせよ、そう言う人達がまだ結構いる。
(トランプだってまだ支持者たくさんいるものねー。)
保守党内でのボリスは?
ジョンソン氏辞任に際して、周りの政治家や関係者へ多くのインタビューがなされた。
顔を出して声高にコメントする人、非公式でコメントする人と様々だが、意見が2極端に分かれているのが面白い。
「これでボリスの政治生命は終わりだろう」と言う声あれば、
「今は低く身を置いているだけで、次のチャンスを狙っているはずだ」と言う見方。
彼の所属する保守党内では、
「ジョンソン氏はサッチャー首相以来の偉大なイギリスの首相だった」と言う人がいれば、
「そもそもアイツが政治界にいること自体が間違ってる!」と怒りを露わにする政治家も結構いるらしい。
党内でも意見が大きく分かれる存在なのだ。
保守党は大きいので、党内にいくつも派閥ができるのはどこでも同じではあろうけど。
キャラとして好き嫌いがはっきり分かれるのもあるようだ。
大方の意見としては「ボリスはこれで終わらない」が大きいような印象だった。
本当に、辞めたら辞めたでこんなにお騒がせな政治家は他にいない。
ブレクジットを選挙にかけようと最初に提言したキャメロン前首相も、
ジョンソンが引き摺り下ろしたメイ前首相も、
首相就任後49日で辞めたトラス前首相も、
いなくなってしまった後は小さな見出しにも乗らない。
ジョンソン人気に頼っていたが
将来はわからないが、過去ジョンソンの不思議人気が長い間保守党を支えたのは事実だ。
政府がいくら批判されても「ボリスが矢面に立っていてくれれば」と言う感じだった。
だがその力もいつまでもは続かない。
コロナ禍の影響、
ブレクジットからくる経済への悪影響、
(政府はブレクジットのせいではない!と言い張っているけど)
ロシアのウクライナへ侵攻によるエネルギー不足、
移民問題、などなどなど、
イギリスはトラブルが絶えない。
政治の責任だけではないにせよ、国民の生活はますます苦しくなっているのは事実。
国民の不満と共に、保守党への支持率は低くなってきている。
中でも物価の値上がりはヨーロッパ中(もうヨーロッパじゃないけど)、イギリスが一番大きい。
「なんでイギリスばっかり!?」
とここでも政府に怒りの矛先が向く。
そこにきて「パーティーゲイト」と呼ばれるこの疑惑事件が、最近ますますメディアで大きく取り上げられている。
ジョンソン氏自身はなんら悪いことはやっていない、誤解だと言い張り、自分から辞める気は一向にない。
そこでどこからか圧力がかかった…らしい。
次は補欠選挙、それも3席!
「パーティーゲイト」疑惑調査は今も続行中だ。
ニュースでも度々、氏がアルコールを前に大勢でテーブルを囲む様子などの証拠写真などが映されている。
それによって今後、まだ辞職する議員が出てくるのかどうか。
今回のジョンソン議員辞職では他にも現職議員が2人辞職している。
いきなり国会では3席も空いてしまうという事態。
補欠選挙はすぐ!ではなく、来月ごろ行われるらしい。
これがスナック首相に大きなプレッシャーになる、と言われている。
(ところでジョンソン議員辞職に関してスナック首相のコメントは公表されていない。
それどころかジョンソン氏に上院への便宜を計ってくれ…と打診されたことがあると今日(6月12日)になって爆弾発言をしている。
また大きく物議を醸し出しそうだ。どうなってんの、イギリスの政界は〜)
前スコットランド首相逮捕で話題が逸れるも
週末はジョンソン辞任一色だったのが、日曜(23.06.11)に突然、
「前スコットランド首相スタージェン女史が逮捕される!」
と言う大事件が起こり、あっという間にニュースがそこに切り替わった。
彼女が長年党首を務めていたスコットランド国民党に政治資金として献金されたお金の行方に関してのものだった。
スタージェン氏はリーダーシップがあり、スコットランド国民に厚く信頼を置かれていたイメージが強い。
去年はやはり党内のお金をめぐって彼女の夫が取り調べを受けていると言う話が報道されていた。
今回もそれに続いてのことらしいが、スタージェン女史自身が逮捕されたと言う事実は誰にとってもショックに違いない。
スタージェン女史はその後警察からは解放されたが、事件そのものが消えたわけではない。
捜査はまだまだ続行中だ。今後どうなるのやら、どこもグレーゾーンばかり。
当分またこのニュース一色になるんだろうな…
注目がまた戻ることも?
ジョンソン氏にとっては、世間の注目が自分からスタージェン女史に移ってしまったのを
見て、
「あー、なんでここでーっ!」
と思っているか…どうか。